緑内障③ 病態

緑内障③ 病態

目の中には血液の代わりに、栄養分に富んだ透明な液体(房水)が流れており、房水が入っているからこそ、眼球と言うボール(風船)は、丸く膨らんでいることができます。指で触ってみても、少し弾力・硬さがありますよね?
目の中に房水がたくさん入っていると眼球は硬くなり、少ないとやわらかくなります。この硬さ・弾力のことを眼圧として測定することを緑内障①②で記載しました。

緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
(難しいことまで書くと、目の奥の血流や視神経の構造など、眼圧以外の原因もいくつか推測され、偉い先生たちが日夜研究中ですが、現在の医学で原因・治療法としては確実に証明されているのは眼圧・眼圧下降のみとされています。)

眼球にとって、房水はなくてはならないものです。栄養分をいきわたらせる役割もありますし、何より房水がなければ、眼球というボールは丸く膨らんではいられません。ケガなどで眼球に穴があき、房水が流れ出てしまったら、目は文字通り小さくつぶれてしまいます。
房水が存在するおかげで、眼球の風船には内側から圧力がかかり(眼圧)、丸く膨らんでいる眼球ですが、光を感じ取る網膜や、網膜の束である視神経が、眼圧によって押しつぶされて、薄くなってしまう事があります。網膜・神経が薄くなった部分は徐々に見えにくくなっていくのですが、この状態を緑内障と呼びます。


房水によって内側から膨らむ力(眼圧)が働くと、


視神経が圧迫されて、光を感じ取る網膜(緑)が薄くなってしまいます。

血圧は収縮期で140未満が正常、140を超えるとが異常、高血圧と呼ばれますが、
実は、厳密な意味では眼圧に正常値はありません。
ただし、ある程度の目安として、一応は眼圧の正常値は10~20mmHgとされています。

どちらかというと、眼圧は低い方が良いと考えてください。(0とか1とか、極端な低値は別ですが。)
例えば、
・眼圧が100とかあると、地球上の人間のほとんど全員が1日で失明に至ります。
・眼圧が50だと、視神経・網膜が弱い人は数日、丈夫な人は数ヶ月~1年程度かけて失明します。
・眼圧が30だと、目の弱い人は数ヶ月で失明に至りますが、丈夫な人は一生涯まったく問題が起こらない人もいます。
・眼圧が20だと、多くの人では特に問題が起こりませんが、視神経や網膜が弱い人は、ゆっくりとですが失明していくこともあります。
・眼圧が6でも、非常にまれですが、視神経や網膜が押しつぶされていくこともあります。

つまり、眼圧が数字でいくつだから大丈夫、いくつだから駄目。というのではなくて、自分の持っている眼圧に、その人自身の視神経・網膜が耐えられるかどうかが問題なのです。

ある人の視神経が16mmHgまで耐えられる神経であった場合に、その人の眼圧が12mmHgであれば、全く問題が起こりませんが、眼圧が19であれば少しづつ弱っていきます。眼圧が30であれば、より早く弱ってくという具合です。

ですので、眼圧の正常値である10~20mmHgというのは、それくらいの人が多いという目安であって、その中に入っているから大丈夫ということもないですし、その中に入っていないから絶対に病気になるというわけでもありません。
(そうはいっても、眼圧が30も40もあれば緑内障になる確率は高いので、人間ドックで眼圧を測って、20以上の人をピックアップすることは、効率よく病的な人を見つけるのには役立っています。問題なのは、20以下だったから、緑内障にはならないと、安心してはいけないという事です。)

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