先週末は東京丸の内で、低侵襲緑内障手術に関する講師・講演を行いました。
多くは点眼。手術はリスクが高く敷居が高い。というステージでマンネリ化し、発展が滞っていた緑内障治療ですが、この数年で急激に変化しています。
特殊なレーザー(cyclo G6)や、今月は新薬も発売されますし、何よりMIGS(ミグス;低侵襲緑内障手術)の台頭は目を見張るものがあります。
短時間で簡単。合併症のリスクや患者さんの負担が少なく、回復が早い。そんなMIGSの中でも、最も低侵襲・低リスクであると考えられるのがiStentです。
海外では爆発的にヒットしている術式ですが、日本ではまだ「流行っている。どこの医院でも行われている。」というレベルにはありません。
コツさえ掴めば非常に安全、簡単な手技であり、白内障手術を施行している眼科医全員が習得すれば多くの患者さんを救える医療です。
今回、日本で第1回目ですが、iStentの講習会に協力させて頂きました。
第1回 グラウコスMIGSセミナー
座長は北里大学の庄司教授、トラベクトーム(MIGSの一つ)の第一人者です。
北里大の笠原先生は、iStent以外の各種MIGSに関しての総論を。
聖マリアンナ医科大学の徳田先生は、iStentを始めるにあたっての注意点や、トラブルシューティングのお話。徳田先生から「緑内障は早期治療が重要。MIGSの拡大で失明者を減らすことができうる。」といった発言があり、胸がジンときました。
僕は、主に2つの内容を話しました。
①iStentとカフークによるMIGSの成績
(どのMIGSも集合管以降の問題がない場合、うまくいけばlow~middle teenの眼圧が得られる。高侵襲なMIGSは眼圧が高いタイプに行われやすいので、一見すると眼圧下降率(下降幅)が大きいが、最終目標は同レベルである。例外的に高眼圧症例に使用したiStentでも同じくlow~middle teenに下降した。)
②実際の手術手技のコツとポイント、注意点
・色素を用いた流出の確認と、その経験からどうやればうまく流れるか。
・姿勢、留置のコツ(思ったより浅く)、粘弾性物質はヒーロンV
・虹彩嵌頓を防ぐ工夫
・カフークでのトラブルシューティング
以上を手術ビデオを豊富に流しながら講演しました。
やや先鋭的な内容を多く入れてしまい、講演前は大丈夫かな?と心配していましたが、非常に多くの先生から「面白かった。勉強になった。大学病院ではできない、独創的なアイデアだ。」と沢山のお褒めの言葉を頂きました。
そうそうに問い合わせや、次の講演の依頼もありましたが、iStentは非常によい手術ですので、日本でも早く広がって多くの患者さんの役に立つとよいと思います。
グラウコス社からは、今後も新型のiStentや、ドラッグデリバリーシステム(目の中に留置した器具からゆっくりと薬剤が放出される)など、革新的な医療技術が発表・発売される見込みです。iStentの習得は将来的にもメリットが大きいと思います。講演も一つの方法ですが、MIGSを始められるにあたってご不安な先生がいらっしゃれば、ぜひご相談下さい。
10年前には僕がこんなに緑内障の分野に関わっていくとは思ってもいませんでしたが、過渡期の医療に携わって、最新の知識や技術を身に着けていくのはとても面白く、医師としてやりがいに充実している日々です。
庄司教授、徳田先生、笠原先生、小林先生(同級生)と。
講演直前に小山市で硝子体手術を9件行い新幹線で向かったのですが、手術で帽子をかぶっていたせいか、なんかカツラみたい。。。写真をみて気が付きましたが、人前で話す機会が増えたので身だしなみも気を付けないとですね。。。