メイメイシャ:長期で考える医療「その白内障手術待って!」


https://mei-meisha.com/doctors/栗原先生/

先日、メイメイシャという眼科医の紹介サイトからインタビューを受けました。僕も掲載されたので一応紹介します。 ちょっとしたインタビューで、僕の考え全てという訳にはいきませんが、一応、地産地消と早期手術の否定など、言いたいことも載せて頂けていたので、お時間があれば読んでみて下さい。 (メイメイシャは書店で目にする、「手術数でわかる・・・」とか、「病院の実力・・・」とか、眼科を紹介する雑誌のようで、実際は医院の有料広告。というものではなく、企業の純粋なインタビューです。)

今週も都内はもちろん、宮城、京都など、はるばる遠方からセカンドオピニオンにいらした患者さんが何人もいました。ありがたいことなのですが、宮城県の1名を除いて、当院での手術はお断わりしています。(宮城の方は重症の糖尿病網膜症で、早期加療、当院での治療にメリットがあると考えた方です。)

手術件数が多いので、よく勘違いされますが、僕は術後に責任を持てないので、遠方の患者さんの手術は極力控えるようにしています。そして、特に白内障手術のように手遅れになることがない疾患では、「どうにも仕方がない。手術をしない訳にいかない。」というケースを除き、手術なんて極力しない方がいいと考えています。
多くの患者さん、眼科医も間違っていますが、白内障手術をしたら10年後も20年後も同じ視力でいられるわけではありません。(10年前のズボンがはけるように、たまには目の形も変化がない人はいますが。)
矯正視力が1.0あるのに、ちょっとかすむから。運転免許の眼鏡使用が嫌だから。そんな理由で手術を希望される患者さんも、残念ながら手術を過剰に進める眼科医も沢山います。
今日はそんな方へのブログです。
眼内レンズの透明度は一生物ではありません。10年20年前のものに比べれば混濁のリスク・程度は小さくなっていますが、最新型のレンズでも1年前に右眼、今年は左眼と手術をした場合、診察をすれば明らかに左右差があるのが分かります。余命が伸びつづけている現在、50代、60代で手術を受ける人が沢山いて、30年後が本当に心配です・・・。
長期経過で眼内レンズがズレたり、落下したりする症例が増えてきています。最近はほぼ毎週、レンズの補正や交換、縫い付けなどの紹介があります。
手術後も目の形は年齢で変化します。手術直後は裸眼で1.2に回復しても、5年、10年では遠視や乱視などの度数が変わり、裸眼の視力は低下します。10年20年の単位では術前以上に分厚いメガネが必要になるケースも少なくないと見込まれます。(手術前が強度近眼とかであれば、それ以上に厚いメガネになることはないでしょうが、術前が薄いメガネであれば、長期では術後の方が乱視が強まることはおおいに予想できます。)

メガネfreeを安易にうたって、過剰に早期手術や多焦点眼内レンズをすすめる眼科医がいたら、ぜひ次の質問をして下さい。
★ずっとメガネがいらなくなるのですか?
★10年後も裸眼で運転免許証が更新できるのですね?
★せめて5年くらいは100%で更新できると保証してくれますよね??
質問をした途端に手術を勧めなくなる先生がいたら、それは本当に手術が必要な状態だったと思えますか?なんのため、誰のための手術でしょう?病院経営のためでしょうか?
白内障は混濁が強く、視力が下がり、現在の生活が困難な場合に、仕方なく手術を受けるべき疾患です。
若くても濁りが強く視力が下がっているなど、せざるを得ない手術であれば、その時に少しでも乱視を減らしてあげたい。メガネを減らしてあげたい。とは思いますが、それは決して一生涯の視力ではありません。今、ちょっとメガネをかけるだけで不自由がない人は手術なんて受けるべきではありません。超高齢化社会。30年40年のスパンでリスクを判断する時代です。
50代60代での白内障手術、本当に今受けて大丈夫ですか??


メイメイシャサイトより

 

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