今日は外来が85名と、少し多めでしたが、重篤な患者様の紹介はなく、比較的ゆっくりと診療ができました。
今日は屈折異常についての記載です。
屈折異常(くっせついじょう)
僕がよく外来で使っている説明書です。
一番真ん中の図をご覧下さい。左側(角膜側)から入ってきた光は、角膜や、水晶体と呼ばれるレンズの力によって、屈折(光の進行方向が曲がる)し、眼内の右側(網膜側)で像を結びます(ピントがあいます)。
この図のように、リラックスした状態で、遠くから入ってきた光が、自然と網膜にピントが合うような目の事を「正視・せいし」と呼びます。
非常に優秀な目で、何もしなくても遠くの物がはっきりと見え、近くの物も、余程の老眼にならない限り、まずまず楽に見ることができます。
では、正視の人と、遠視や、近視の人とは何が違うのでしょう??
答えは目の大きさ(長さ・奥行き)になります。
実は、角膜や水晶体が光を曲げる力(屈折力)には、大きな個人差はないようです。多くの場合は、角膜から入ってきた光は、23?24mm程度で、像を結びます(ピントがあう)。ですので、目の大きさがが、ちょうど23?24mm程度の人が「正視」となります。
「遠視」の人はどうでしょう?(図左上)
遠視の人は、23mmよりも目が小さいのです。リラックスした状態では、ピントは網膜よりも後方(図では右側)にあり、本来は近くにも遠くにもピントが合いません。
ただし、人間は眼内の筋肉を使用することで、水晶体の厚みを膨らませて、ピントを近く(図では左側)に動かすことができます。この働きのことを調節といいます。ですので、力いっぱい調節してもピントが合わないほどの、よほど強い遠視(目の大きさが20mm以下など)ではない場合には、疲れやすいなどはありますが、一応ピントを合わせて、物を見ることができます。
加齢によって、眼内の筋力が落ちたり、水晶体が硬くなって膨らまなくなることで、ピントが合わなくなると、まず近くが見えなくなり(老眼)、さらに進むと遠くも見えなくなります。
「俺は若い時から目が良かった。でも最近はメガネがないと見えない」などと言っている人が、外来ではたくさんいます。実は、このような人は、決して昔から優れた目でいたわけではなく、子供の時から遠視で、無理をして筋肉を使って見ていた。ということになります。(若い時には筋肉痛も起こらず、水晶体も軟らかいので、ピントも合いますし、無理をしているという自覚がないのです。)
「近視」の人はどうでしょう?(図右下)
近視は目が大きい人たちです。24mm以上の目の大きさがあると、遠くからの光のピントは、網膜よりも手前(図では左側)にあってしまします。筋力を使って、水晶体を膨らませてピントを動かす、調節という働きは、ピントを近くに合わせることはできるのですが(図で言うと左に動かす)、遠くにズラす(図で言うと右側:網膜側)ことはできません。
ピントを網膜に合わせたい、遠くの物をはっきり見たいと思えば、メガネや、コンタクトレンズ、LASIK等の手術をする以外にないのです。
基本的には、小さい子供は「遠視」が多く、小学生や中学生では「正視」が多く、高校生以上になると「近視」が多くなります。
これは、体の成長とともに目の大きさが大きくなるためです。
成長するほど、「遠視」⇒「正視」⇒「近視」となります。
ですので、小学生で近視があって、視力が下がっている場合には、基本的には中学生ではさらに強い近視、高校生ではさらに強い近視となるわけです。
高校生くらいで、急にメガネの人が増えるのはこのためです。(体も大きくなりますもんね。)
一般的には、目の大きさの成長は20代後半で止まる事が多く、それ以降は近視の度数の進行などが、落ち着きます。(病的近視などを除いて)
遺伝などの問題で、もともとの目の大きさや(スタートラインが違う)、目の大きさの成長速度には差があるために、遠視や正視、近視の人がいるのですが、成長によって遠視から近視に傾くということは、みなさんに同じように起こることなのです。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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