今日の午後は以下の手術です。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 13件
・緑内障手術(トラベクレクトミー)1件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件(黄斑前膜2件)
無事に終わっています。
ぶどう膜炎? 症状・所見 その1
炎症とは、組織が熱を持ったり、赤くなったり、腫れたり、痛んだりすることです。ぶどう膜炎はぶどう膜に炎症を起こすので、目の中に、同じような症状や所見が現れます。
ぶどう膜炎の人の写真です。ぶどう膜に炎症があると、白目(強膜や結膜)にも炎症が波及し、充血します。痛みもでます。バイ菌がついた結膜炎程ではないですが、分泌が少し増えてメヤニも多少出ることがあります。
次に目の中を観察してみると、
緑矢印
本来、目の中には毛様帯というぶどう膜の構造から産生された、房水というお水が循環しています(イラスト水色)。体の他の部位は赤い血が流れて栄養や酸素がいきわたりますが、目の中に赤い血が流れていたら、光がとおりませんよね。
毛様帯では、通常は血液の中から栄養分の豊富なキレイなお水だけを濾過して、眼内に送り出すのですが、ぶどう膜炎で免疫反応が活発な時には、免疫を担当する白血球と言う細胞が、房水の中に出てきてしまうのです。
こんな感じで、角膜の裏側に白血球の塊がべったりついたり、房水の中を白血球がうようよと泳ぐようになります。
透明で光を通す役割の角膜や、房水が濁ってしまう状態なので、自覚症状とちては、かすんで見えたり(霞視;むし)、光が散乱してまぶしく見えたり(羞明;しゅうめい)します。
このような目の前の方(水晶体より前)のぶどう膜炎を、特に虹彩炎(こうさいえん)、または前部ぶどう膜炎と呼んだりもします。
青矢印
硝子体と呼ばれる、目の中の広範囲を占めるゼリーの中にも白血球がうようようごめくようになります。やはり、濁ってしまうので(硝子体混濁)、かすんで見えたり、視力が下がったりします。
このような硝子体の濁りで、特に毛様体の近くで炎症が強いぶどう膜炎は、中間部ぶどう膜炎なんて呼んだりもします。
赤矢印
網膜や、その奥にある脈絡膜と呼ばれるぶどう膜に炎症が起こる場合もあります。網膜の血管に炎症が起こると、出血を起こすこともあります。出血で硝子体が濁ってしまうため(硝子体出血)、やはり視力が低下します。
(もっと血みどろの例も多いのですが、血みどろの症例は写真が撮れないというか、うつらないのですよね。)
網膜の血管の炎症や、出血、浮腫など、目の一番奥の方で炎症が起こるぶどう膜炎を後部ぶどう膜炎と呼んだりもします。
全部
前部(虹彩)、中間部(毛様体)、後部(脈絡膜)、3つのぶどう膜のうち、どのぶどう膜に炎症が起こるかで、呼び方が変わったりしますが、3つの全てというか、全域で炎症が起こる場合も多く、そのような場合は汎ぶどう膜炎(はんぶどうまくえん)という名前で、重症例になります。ただ、医師から患者様に説明する場合には、説明も大変なので「ぶどう膜炎ですね。」という説明のみになってしまう事が多いかと思います。
これみんな、ごく最近の症例の写真ばかりです。やっぱりここは重症例が多いなぁ。次回は、ぶどう膜炎が長引いた時に起こる2次的な所見などについて書いてみたいと。
栗原先生
いつもとても分かりやすい内容で勉強になります。
私の患者への説明に参考にさせて頂いております。
先生の病院では常勤が一名ですか?
募集はありますか?
何年目の先生ですか?
お願いします。
ご連絡ありがとうございます。ぜひ、お電話にてご相談下さい。気楽に、一度見学に来て頂くのが一番よいかと思います。
栗原先生、始めまして 検索でたどり着きました
とても参考になります ありがとうございます
現在アメリカ在住の66歳です
アメリカで 2013年4月白内障手術をしました
左は翌朝バッチリ見えましたが 右は手術直後から茶色っぽい暗い視界しか見えず 車のダッシュボードも 自分の手も幽霊のようにボーっと浮かんでかすかにボケて見えるだけでした
盲目になる恐怖で一夜を過ごし 翌朝からは悪化はしないものの進展らしさもなしで、やっと一週間経過した頃から なんとなく良くなっていく希望をもちはじめ 2ヶ月以上たち 回復したという 怖い経験でした。
両眼ともRK手術を25年前にしましたので 角膜が不安定でその間ひどい乱視も発症していましたが これも今は回復しました
それにしても なぜ暗くてみえなかったのでしょうか? どこかで出血していたのでしょうか?
考えられる原因を教えていただけたらとても助かります
追伸
手術から一ヵ月後 すでに両眼とも後発白内障があると言われ この8月にYAGレーザーをあてる予定です
眼は いかなる手術もとてもデリケートで私には怖い予感が先に来てしまいます
こんにちは。
すみませんが、当時の診察所見がないと、なんとも推測が難しいです。
手術後の炎症などで、黄斑浮腫という病態が起こった場合は、中心部が暗くなります。この場合、ステロイド剤の注射や抗VEGF薬など、追加の治療を行っているかと思います。
RK手術後ということで、水泡性角膜症の一歩手前という状態も考えやすいです。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=5372
角膜内皮細胞が少ないと、術後の角膜の浮腫やシワが、通常よりも長く続き、ゆっくりと回復します。
1から2ヶ月かけて回復することも多々あります。現在も起床時が見にくく、午後から少し見やすくなる。などの症状があると、内皮細胞数が少なくなっている可能性が高いかと思います。
はじめまして。
ご意見いただきたく、メールさせていただきます。
ぶどう膜炎になって、1ヶ月が経ちました。ある朝目を開けると左目の視界が真っ白になっていて、慌てて眼科を受診しました。ステロイドと瞳孔を開く点眼薬をしばらくしていたら、見えるようにはなってきたのですが、最近では目の奥が重く、瞼を開けるのに意識して力を入れないとスムーズに開かないようになってきていて、心配です。ここのところ、お昼を過ぎると額から目にかけて、硬直したような突っ張り感があり、頭も痛くなります。
実は悪化しているのではないでしょうか?
遅くなってすみません。
メールの内容のみから判断するのは難しい病態です。
心配であれば、早々に再診するべきかと思います。
(僕の患者さんで、ぶどう膜炎の人には、「おかしくなったら予約とか言ってないで、すぐに来るように!」と話しています。)
お返事ありがとうございました。
確かに見えづらいのですが、視力検査をすると、数値は悪くないのです。よって、先生の診断も視力は落ちていないから大丈夫ということになるのですが、やはり、見えづらいので不安なのです。