久しぶりの更新です。
日々の診療と、双子(合計4怪獣)の子育てに奮闘している毎日です。
山王台病院の桜もほぼ満開で、帰宅時に目を奪われた桜のライトアップの写真をとってみました。
春といえば花粉症ですが、今日は急性のアレルギー性結膜炎で生じる結膜浮腫について記載します。
結膜浮腫
白目の表面の粘膜を結膜といいますが、結膜浮腫は結膜に水がたまった状態です。全身性の浮腫・むくみ(腎臓の機能低下や、心不全、寝たきり、)と合わせて生じる場合もありますが、アレルギー性結膜炎で目を擦ってしまった場合などにも度々起こる症状です。
もともと血管には穴(窓構造)があいていて、窓から酸素や二酸化炭素、栄養分などの物質の受け渡しをしているのですが、アレルギーや、擦過(こする)などによる炎症が起こると、血管が開いて窓が大きくなり、普段は漏れださない血液の液体成分(血漿)などが血管の外に漏れだしてしまう
ことがあります。
皮膚の血管から水が漏れだして膨らむと蕁麻疹になったり、スズメバチや蕎麦アレルギーなどのショック症状の場合は全身の血管が開いて、血管の外に水が漏れだし血圧が下がってしまいます。
結膜浮腫は結膜の血管が、急性のアレルギーや、さらに擦ってしまうことによる炎症によって血管が開いて、窓が大きくなり漏れだしたお水の成分がたまってしまう現象です。
年間を通してみると、動物の毛が入って生じることが一番多い印象ですが、今年の3月はスギ花粉症で来院される方が本当に多くいました。
休日や夜間の救急問い合わせで、一番多いのは結膜下出血という結膜の内出血で、治療せずとも治ってしまう病態なのですが、今年の3月に関しては結膜浮腫が一番多くて、「白目が飛び出てきてしまった。」と、なんと救急車で来られたお子さんまでいたり・・・。
(結膜下出血も結膜浮腫も救急受診の必要性はないのですが、結膜浮腫は比較的、目を擦ってしまうお子さんが多く、お母さんが心配して電話というケースが多くなるようです。)
「白目が飛び出た」「ゼリー状にブニョブニョしている」「目が閉じにくい」「目が痒い」「赤い・ゴロゴロする」など、急激な症状を心配されるようで、「きっと花粉です。」と電話で答えても、「花粉なんて信じられない。とりあえず診察してほしい。」という方が多くを占めます。
空気中から目に入る花粉の量は多くなくても、実は茨城県の県庁所在地・水戸市は日本を代表する花粉の飛散量を誇っています。車のボンネットを指で擦ると黄色くなるのを経験したことがある人は多いはず。大量に花粉がついた指で目をこすると重度のアレルギーを生じるのはイメージしやすいでしょうか?
明らかに動物の毛が入ったまま。ということでなければ、
結膜浮腫の多くは数時間、もしくは翌朝には自然に軽快します。
ステロイドの点眼薬を使用すると治りが早いので、受診をされた場合には、リンデロンやフルメトロンという点眼薬が処方されるかと思います。
来年の茨城県の花粉が多くなるかは不明ですが、「白目が飛び出た」などのフレーズでインターネットで検索して、このブログを読んで頂くことで救急車などは呼ばないで落ち着いて対応してくれたらいいな。なんて思いながら久しぶりのブログを終わります。